肝臓外来

日本肝臓学会専門医が担当し各種肝疾患の診断と治療を行います。
B型・C型肝炎に対する最新の治療も通院で行えます。

 肝臓は「沈黙の臓器」といわれていますが、肝臓は予備能力が高いため何らかの原因で肝臓が障害を受けても、症状として自覚できないことが多いからです。

 肝機能検査値が異常な値を示していても、自分自身で症状を感じることはほとんどありません。しかし、肝機能検査値の異常は「沈黙の臓器」肝臓が発する危険信号です。この状態を放置すると、症状がないうちに肝臓の病変が進んで、肝硬変や肝がんなど命をおびやかす病気になる危険性が増します。

 職場検診などで肝機能の異常を指摘されたときは必ず二次検査を受け、肝臓の病気だとわかったときには、無症状でも医師の指示に従い定期的な検査を受けてください。

肝機能障害の原因

 肝機能障害は以下のような多くの原因が考えられ、詳しい検査によって鑑別診断が必要です。

  ◎肝炎ウイルス
  ◎アルコール
  ◎過栄養(肥満)
  ◎薬剤・健康食品・サプリメント
  ◎免疫異常(自己免疫疾患)
  ◎代謝性(鉄や銅などの異常蓄積、甲状腺の異常)
  ◎胆道系疾患(胆のう炎、総胆管結石)
  ◎心臓病(心不全)

日本では肝がんの原因の90%近くがB型またはC型肝炎ウイルスの感染ですが、最近増加傾向にある肥満による脂肪肝でも肝硬変や肝がんに進行する患者さんがいます。

肝炎ウイルス

 肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型などがあり、原因となるウイルスによって、それぞれ「A型肝炎」、「B型肝炎」・・・と分類されます。なかでも日本人に圧倒的に多くみられるのがB型肝炎とC型肝炎で、B型肝炎ウイルス感染者が約150万人、C型肝炎ウイルス感染者が約200万人います。

B型肝炎

 B型急性肝炎は,成人が初めてB型肝炎ウイルス(HBV)に感染して発病したものであり,B型慢性肝炎は,多くが母子感染や乳幼児期の感染ののち持続感染している人(無症候性キャリア)が発病したものです。
B型慢性肝炎を放置すると,病気が進行して,肝硬変,肝がんへ進展する場合があるため,治療が必要です。

 B型慢性肝炎の治療は大きく分けて,抗ウイルス療法(インターフェロン療法,核酸アナログ製剤療法)と肝庇護療法があります。B型慢性肝炎では,ウイルスを体から完全に排除することが難しいため,治療の目的は「ウイルスの増殖力を低下させ,肝炎を沈静化させること」となります。

 また,無症候性キャリアの方からも,肝炎を発症することなく肝がんを発症することがあるため,B型肝炎ウイルスキャリアと診断された方は,定期的(概ね3~6か月に1度)な受診・検査をお勧めします。

C型肝炎

 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、20~30%の方は一時的な感染のみで完全に治りますが、残りの70~80%の方は自覚症状がほとんどないまま経過し、慢性化してHCVキャリアとなります。HCV感染時にはしばしば急性肝炎を発症しますが、明らかな肝炎の症状が出ないまま慢性化する人もいます。

 HCVキャリアの方は、ウイルスが体から自然に排除されないため、慢性肝炎を発症します。慢性肝炎を放置すると、病気が進行して、20~30年後に肝硬変や肝がんへ進展するため治療が必要です。

 C型慢性肝炎の治療にも抗ウイルス療法と肝庇護療法があります。抗ウイルス療法は、ウイルスを排除することを目的とした抗ウイルス薬をいくつか組み合わせて行います。1992年にインターフェロンが登場し、今日までインターフェロンが治療の中心でありました。インターフェロンは免疫活性化作用などを持ち、非特異的にウイルス増殖を抑制する薬剤ですが、副作用が多く、長期間の治療が必要です。

 2000年以降には、C型肝炎ウイルスに直接作用して増殖を抑える飲み薬(DAA)が次々と開発され、インターフェロンと併用で投与されるようになりました。さらに、最近では飲み薬のDAAだけで、インターフェロンをつかわない治療(インターフェロンフリー療法)も開発され、少ない副作用で高い効果が得られるようになってきています。

この直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によるインターフェロンフリー治療として2014年から投与可能になっているダクラタスビル+アスナプレビル併用療法は日本で最も多いジェノタイプ1型に対して約85%の持続的ウイルス排除率が得られています。さらに2015年中には2型に対するソフォスブビル+リバビリン併用療法と1型に対するソフォスブビル+レディパスビル併用療法という新薬が承認され投与可能となる見込みです。

アルコール

 アルコールの過剰摂取により最初に起こる変化は脂肪肝です。脂肪肝は2~3週間の断酒によって改善させることができます。アルコール性脂肪肝の人がさらに大量に飲酒すると、10~20%の人にアルコール性肝炎が発症します。この肝炎は重症になるとしばしば致命的になります。また長年飲酒を続けていると、肝線維化が進行し、肝硬変に移行します。

 日々の飲酒量をチェックすることが最も大切で、ウイルス性肝炎と異なり、自らの意思でその発生を予防し得る病気ですが、残念ながらその予防は実行できていないため、アルコール性肝障害の割合は増加してきています。お酒を常習的に飲んでいる方は、症状がなくても定期的に血液検査を受けるようにしてください。

 また、ウイルス性肝炎を合併している場合には飲酒によって、より肝硬変に進行しやすく、肝臓がんを合併しやすいので注意が必要です。

過栄養(肥満)

 最近は食べ過ぎと運動不足による肥満が増えていますが、肥満者の約80%に脂肪肝がみられます。また肥満や糖尿病の人などで、脂肪肝がさらに悪化すると非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進展していきます。
 NASHは炎症や線維化を伴って肝硬変や肝がんに進行する場合があることも知られてきました。飲酒のせいではない脂肪肝の10人に1人は、NASHと考えられています。残念なことに、比較的新しい概念であるため、医療機関を受診していても、適切な指導・治療が行われていないこともある疾患 です。


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